はじめに

おかき

薬剤師の平均貯蓄って、どのくらいなんだろう?

そう調べる時、単に数字を知りたいわけではないと思います。

本当に聞きたいのは、「自分のお金は大丈夫なのか」ということではないでしょうか。

私は現在36歳、既婚で子どもがいて、住宅ローンと奨学金返済を抱えながら薬剤師として働いています。

年収はおよそ600万円。薬剤師の平均からすれば、決して低い方ではありません。

それでも、老後のお金に不安を感じます。

不安を強く感じた瞬間は、「奨学金の返済が50歳まで続く」と気づいた時でした。

36歳の私には、まだ14年間の返済が残っている。

子どもの教育費もこれから本格化する。住宅ローンは35年ローンのまだ序盤。

そのうえで老後資金まで積み上げていけるのか、と考えた時、「給料だけに頼っていいんだろうか」という感覚がはっきりと生まれました。

この記事では、薬剤師の平均貯蓄や老後不安に関するデータを確認しながら、36歳薬剤師の私がなぜ資産形成を始めたのかをお伝えします。転職で解決する話でも、業界が危ないという話でもありません。「安定収入があっても、家計の支出構造によって不安は残る」という視点から整理しています。

薬剤師の平均年収は高め。でも老後不安が消えるわけではない

まず、薬剤師の年収水準を確認しておきましょう。

厚生労働省が運営するjob tagのデータ(2026年6月2日時点)によると、薬剤師の平均年収は566.8万円、平均年齢は40.1歳です。求人賃金の月額は35.6万円で、有効求人倍率は3.57と高い水準を維持しています。

私自身の年収は約600万円ですから、薬剤師の平均よりやや上か、近い水準です。手取りは月約30万円、ボーナスは年2回で合計約120万円ほど。数字だけ見れば、悪くない条件だと思います。

ただし、「年収が平均より高い」ことと、「老後のお金に不安がない」ことは、まったく別の話です。

問題は、収入の絶対額ではなく、支出のイベントがいくつ重なるかです。住宅ローン、子どもの教育費、奨学金返済、老後資金の積み立て——これらが同時進行すると、年収600万円でも手元に余裕が生まれにくい。

基本給のアップは少なく、昇給やボーナスの増加が、支出の増加ペースに追いついていない感覚があります。管理薬剤師として数字を上げればボーナスに反映される部分もあるので、収入を伸ばす余地がゼロではありません。ただ、それでも「給料だけで全部まかなえる」という安心感には、まだ届きません。

平均貯蓄を見る時は「平均」より「中央値」を見る

「薬剤師の平均貯蓄」を調べると、様々な数字が出てきます。ただし、貯蓄額の「平均値」を見る時には注意が必要です。

J-FLEC(金融経済教育推進機構)が実施した「家計の金融行動に関する世論調査2025年」(調査時期:2025年6月20日〜7月2日、調査対象:全国5,000世帯)によると、二人以上世帯の金融資産保有額は次の通りです。

指標金額
平均値1,940万円
中央値720万円

この差が大きいことに気づきましたか?平均値は一部の高額資産保有世帯に引き上げられやすいため、「自分はどのあたりにいるのか」を知りたい場合は、中央値を参考にする方が実態に近い場合があります。

中央値720万円と聞いて、「自分は平均より多いから安心」または「少ないから焦らなければ」と感じる方もいるかもしれません。

ただ、貯蓄額の多い・少ないだけで将来の安心・不安を判断するのも少し危険です。

大切なのは、自分の年齢、家族構成、住宅ローンの残高、教育費の見込み、奨学金の残額、老後に必要な資金規模を合わせて考えること。

平均と比べて一喜一憂するより、自分の家計に合った資金計画を作ることの方が、ずっと重要だと思っています。

36歳薬剤師の私が老後不安を感じた瞬間

老後不安を強く実感した瞬間は、奨学金の返済スケジュールを改めて確認した時でした。

日本学生支援機構(JASSO)の返還シミュレーションで自分の返済完了時期を確認したところ、50歳まで返済が続くことがわかりました。薬科大学は6年制で、学費も高い。奨学金を借りた経緯は人それぞれですが、返済が長期化するケースは珍しくありません。

36歳の私には、まだ14年間の返済が残っている。

その時、改めて自分の家計を書き出してみました。

住宅ローン:35年ローンで残り30年以上

子どもの教育費:これから小学校・中学・高校・大学と続く

奨学金:50歳まで毎月の返済がある

老後資金:65歳までに積み上げる必要がある

「年収600万円でも、これを全部給料だけで乗り越えるのは重い」

そう感じた瞬間、「薬剤師は安定している」という事実と、「老後のお金に困らない」という安心は、別の話なんだと気づきました。

安定した職業に就いていることと、将来のお金が保証されていることは、イコールではありません。安定収入があっても、支出イベントが積み重なれば、給料だけでは不安が残ります。

薬局や会社が悪いわけではない。それでも不安が残る理由

ここで一度、よくある「薬剤師の将来は暗い」系の記事との違いを整理しておきたいと思います。

私が感じている不安は、「薬価改定で業界がつぶれる」とか「調剤薬局は将来なくなる」という話ではありません。

実際に私が働いている職場の実感として、薬価削減で現場が苦しいという雰囲気は特にありません。

点数が上がっている部分もあり、会社の経営は黒字で現金の余力もある。

優秀な後輩もいて、現場はしっかり回っています。

在宅業務が急増しているわけでもなく、管理薬剤師として数字を上げれば、給料に反映される余地もある。

会社が悪いわけでも、業界が悪いわけでもない。

私が感じている不安の本質は、家計構造の問題です。

基本給のアップが緩やかで、住宅ローン・教育費・奨学金・老後資金という支出の増加ペースに昇給が追いつきにくい。これは会社の評価や業界の動向とは別の話です。

ライフイベントが重なる30〜40代の薬剤師に特有の、家計の問題です。

「業界が危ないから不安」ではなく、「家計イベントが重なる中で、給料だけでは対応しきれない不安がある」——この違いは、解決策を考える時にも大切になってきます。

老後不安は薬剤師だけの話ではない

ただし、こういった不安を感じているのは、薬剤師だけではありません。

先ほど触れたJ-FLEC「家計の金融行動に関する世論調査2025年」では、老後の生活について以下の結果が出ています。

老後の不安度割合
多少心配40.3%
非常に心配37.9%
合計78.2%

老後を心配している理由として最も多かったのは「十分な金融資産がないから」で61.9%。次いで「年金や保険が十分ではないから」が42.4%でした。

つまり、安定した収入がある人であっても、老後の不安を持っている人は多い。薬剤師だから特別に不安、ということではなく、日本の家計全体として、老後資金の問題は広く共有された課題です。

だからこそ、「平均貯蓄と比べてどうか」を確認するだけで終わりにしてはいけない、と私は思っています。データを見て安心したり落ち込んだりするのではなく、自分の家計に合わせて「何かアクションをとること」の方が、ずっと大切です。

給料だけに頼らないために始めたこと

こうした不安を感じた結果、私が選んだのは「給料以外の収入源を少しずつ作る」という方向でした。

現在は、新NISA・iDeCo・日本の高配当株を使って、少しずつ資産形成を進めています。具体的な金額はここでは出しませんが、毎月の給料とボーナスの一部を、これらの仕組みに分けています。

新NISAについて

2024年から始まった新NISAでは、年間投資枠が最大360万円(つみたて投資枠120万円+成長投資枠240万円)、非課税保有限度額は最大1,800万円です(金融庁「NISA特設ウェブサイト」より)。

つみたて投資枠と成長投資枠は併用できるため、長期の資産形成に使いやすい制度です。

iDeCoについて

iDeCoは、公的年金とは別に受け取れる私的年金制度です(厚生労働省「iDeCoの概要」より)。加入者が拠出した掛金は全額所得控除になるため、節税効果があります。ただし、原則60歳まで引き出せないことには注意が必要です。

老後資金と割り切って積み立てる用途に向いています。

日本の高配当株について

高配当株は、株価の値上がり益ではなく、保有しているだけで配当金が受け取れる点が特徴です。給料以外のキャッシュフローとして、配当金という「別のお金の流れ」を実感しやすい。

ただし、株価の下落や企業の業績悪化による減配リスクがあるため、「確実に増える」とは書けません。分散投資と業績の確認が前提になります。

なぜ投資信託だけでなく高配当株も選んだのか

新NISAやiDeCoで投資信託を積み立てる方法と、高配当株に投資する方法は、どちらも有効な手段です。ただ私が高配当株にも注目した理由は、「配当金」というキャッシュフローが見えるからです。

投資信託の含み益は、売却するまで実感しにくい。でも配当金は、四半期や半期ごとに口座に入ってくる。住宅ローン、教育費、奨学金が続く中で、「給料以外の入金がある」という事実は、心理的にも大きな支えになります。

もちろん、配当利回りだけで銘柄を選ぶのは危険です。業績の安定性、減配リスク、分散のバランス、NISA成長投資枠の使い方まで、考えることは多い。その具体的な進め方については、以下の記事でまとめています。

▶ 薬剤師が高配当株投資を始める具体的な流れは、こちらの記事で詳しくまとめています。
薬剤師こそ松井証券で高配当株投資を始めるべき理由

平均貯蓄と比べるより、まず作るべきは「仕組み」

平均貯蓄のデータを見て、自分と比較することには、あまり意味がないと思っています。大切なのは、「今の家計の中に、資産形成の仕組みを作ること」です。

薬剤師は、毎月の給与が安定しているという強みがあります。

この収入の安定性は、長期的な資産形成との相性がいい。「余ったら投資しよう」では、なかなか積み上がりません。

先に一定額を資産形成に回す仕組みを作って、残りで生活する。この順序が、続けるためには重要です。

月1万円でも、ボーナスの一部でも構いません。積み立てる金額よりも、「仕組みを作ること」の方が先です。

まとめ|薬剤師は安定職だからこそ、給料以外の柱を作る

最後に、この記事の内容を整理します。

薬剤師の平均年収は566.8万円(厚労省 job tag)。安定した職業です。

ただし、36歳・子どもあり・住宅ローン・奨学金返済ありという家計では、年収600万円でも老後不安は残ります。

J-FLEC2025年調査では、二人以上世帯の78.2%が老後の生活に不安を感じています。

平均値1,940万円・中央値720万円という数字は参考になりますが、それと比べて安心・不安を決めるより、自分の家計に合った行動を取ることが大切です。

私は、現金だけで老後に備えるのは難しいと感じ、新NISA・iDeCo・日本の高配当株を少しずつ進めています。

「安定職だからこそ、あぐらをかかずに給料以外の柱を作る」

それが、36歳薬剤師の私が出した結論です。

特に高配当株については、証券口座選びも含めて具体的な始め方をまとめた記事があります。

薬剤師が高配当株を始めるなら、証券口座選びも大事です。私が松井証券を選択肢に入れている理由は、こちらの記事でまとめています。
薬剤師こそ松井証券で高配当株投資を始めるべき理由

■ 注意事項

本記事は特定の投資商品や銘柄の購入を推奨するものではありません。

投資には元本割れや減配のリスクがあります。

最終的な投資判断はご自身で行ってください。

制度内容や手数料、キャンペーンは変更される可能性があるため、必ず公式サイトで確認してください。

6. FAQ(3つ)

Q1. 薬剤師の平均貯蓄はどのくらいですか?

薬剤師に特化した公式データはありませんが、J-FLEC「家計の金融行動に関する世論調査2025年」によると、二人以上世帯の金融資産保有額は平均1,940万円、中央値720万円です。平均値は高額資産世帯に引き上げられやすいため、中央値も参考にすることをお勧めします。

Q2. 年収600万円あれば老後は大丈夫ですか?

年収だけで老後の安心は決まりません。住宅ローン、子どもの教育費、奨学金返済など、支出イベントの重なり方によって家計の余裕は大きく変わります。36歳・年収600万円でも、複数の支出イベントが重なると給料だけでは対応しきれないケースがあります。

Q3. 薬剤師が資産形成を始めるなら何から始めればいいですか?

まずは新NISA口座の開設から始める方が多いです。年間最大360万円の投資枠があり、利益が非課税になります。老後資金に特化するならiDeCo、給料以外の収入源を作りたいなら日本の高配当株も選択肢になります。どれを選ぶかより、「自動的に積み立てる仕組みを作ること」が最初のステップです。

薬剤師こそ松井証券で高配当株投資を始めるべき理由

8. 出典一覧

J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査2025年」二人以上世帯調査(調査時期:2025年6月20日〜7月2日、調査対象:全国5,000世帯)

厚生労働省 job tag「薬剤師」(2026年6月2日時点)https://shigoto.mhlw.go.jp/

金融庁「NISA特設ウェブサイト」https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/

厚生労働省「iDeCoの概要」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/nenkin/kyoshutsu/ideco.html

日本学生支援機構(JASSO)「奨学金返還シミュレーション」https://www.jasso.go.jp/shogakukin/henkan/index.html

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おかき
都内の中小薬局で働いてる薬剤師。106回薬剤師国家試験に合格。奨学金700万の返済のために『薬剤師として稼いでいく』ブログを開設。ドラックストアでアルバイト経験から中小薬局に就職し、薬剤師×投資家としてFIREを目指してます。