おかき

薬剤師になれば奨学金は余裕で返せる🔥

学生時代、そう思っていた人は少なくないと思います。

でも実際に働き始めると、家賃・光熱費・食費・税金・社会保険料に毎月の奨学金返済まで加わって、「なんでこんなに残らないんだろう」という感覚に陥る。

これが多くの薬剤師の現実ではないでしょうか。

私自身も奨学金700万円という金額の重さを知っている立場です。

薬学部6年間で積み上がった借金は、気合いと根性だけで返せるような金額ではありません。

奨学金700万円を返すためには、働き方そのものを設計する必要があります。

節約だけで乗り切ろうとするより、職場選びと制度活用の視点を持つ方が、長期的に見てずっと合理的です。

この記事では、奨学金返済中の薬剤師が「やってはいけない働き方」と「重視すべき5つの条件」を整理し、最終的には自分の市場価値と選択肢を知るための行動につなげていきます。

奨学金700万円の返済は、毎月いくらくらい重いのか

まず、返済額のリアルをつかんでおきましょう。

ただし、奨学金の返済額は第一種か第二種か、利率、返還方式(定額か所得連動か)によって大きく変わります。断定はできません。

JASSO公式(2026年6月2日時点)が公表している第二種奨学金の例をもとに概算を出すと、以下のようになります。

条件月額返還額(目安)
480万円を20年・240回返還(利率0.5%)月21,069円
480万円を20年・240回返還(利率1.0%)月22,172円
480万円を20年・240回返還(利率3.0%)月26,914円

※出典:JASSO「第二種奨学金の利子と利率の算定方法」より

この480万円の公式例を700万円に単純比例させると、月約3.1万〜3.9万円程度のイメージになります。

ただし、これは概算です。実際の返済額は借入総額・利率・返還方式・返還期間の組み合わせで変わります。

自分の正確な返還額は、JASSOの「奨学金貸与・返還シミュレーション」で確認してください。実際の借入額・条件を入力すれば、毎月の返済額と返還完了時期が試算できます。

月3〜4万円は、家賃や生活費の次に来る固定費として、毎月確実に出ていく金額です。薬剤師の手取りで考えると、これが「じわじわと重い」と感じる理由は明らかです。

奨学金返済中の薬剤師がやってはいけない働き方

返済が続く20〜30代の薬剤師が陥りやすい「職場選びの失敗パターン」があります。

転職を煽りたいわけではありませんが、選択肢を知らないまま動かないことが一番のリスクです。

  • 年収の額面だけで職場を選ぶ……手取り・残業・交通費を計算すると、実質収入が思ったより低いことがある
  • 人間関係が壊滅的な職場で我慢し続ける……精神的な消耗は、続けること自体を困難にする
  • 通勤時間が長すぎる職場を選ぶ……時間と体力のコストが、返済や資産形成に使えるはずのエネルギーを削る
  • 残業代・休日・手当を事前に確認しない……求人票と実態が異なるケースは珍しくない
  • 返済支援制度・住宅手当を調べない……制度があっても知らなければゼロと同じ
  • 「今の職場以外に選択肢はない」と思い込む……市場を見ていないと、自分の相場も見えない

これらの「やってはいけない」パターンは、どれも情報不足から生まれています。

職場を変えるかどうかより先に、「自分に合う職場の条件を知ること」が重要です。

奨学金700万円を返す薬剤師が重視すべき5つの条件

「年収が高ければそれでいい」は危険な単純化です。

奨学金返済中の薬剤師が長期的に安定して返し続けるために、職場選びで確認すべき条件を5つに整理しました。

1. 額面年収より手取りが残ること

年収が高くても、残業時間・休日数・通勤コスト・家賃相場によって実質的な生活余力は変わります。額面ではなく、毎月の手取りから固定費を引いた後にいくら残るか。

これを起点に職場を見ることが大切です。

たとえば年収500万円の職場Aと年収450万円の職場Bがあったとして、Aが残業80時間・往復2時間の通勤なら、手取りベースで逆転することがあります。

2. 返済支援・住宅手当・引越し補助があること

現在、以下のような支援制度が存在します(2026年6月2日時点)。

  • 企業等の奨学金返還支援(代理返還)制度:JASSOを通じ、企業が従業員の奨学金返済を肩代わりする仕組み
  • 地方自治体の返還支援:大分県・山口県など、薬剤師として一定期間勤務することを条件に支援を行う自治体がある
  • 病院薬剤師向けの返還支援:自治体病院などで返済支援を設けているケースがある

ただし、これらの制度は地域・勤務先・対象者条件によって大きく異なります。

「制度がある」と聞いても、全員が使えるわけではありません。必ず勤務先や転職エージェント、自治体の窓口で確認してください。

3. 心身を壊さず続けられること

奨学金の返済は短距離走ではなく、10〜20年の長期戦です。

高年収でも数ヶ月で辞めてしまったり、体調を崩して休職すれば、返済ペースが乱れるだけでなく、次の職場選びにも影響します。

「今だけ頑張れば」という発想より、「これなら3年続けられる」という職場を選ぶ方が、トータルの返済総額は少なくなります。

4. 市場価値が上がる経験を積めること

薬剤師の年収は、経験・スキル・資格で大きく変わります。

返済中の数年間を、ただ時間を過ごすのではなく、次の年収交渉やキャリアアップにつながる経験を積む場として使うべきです。

市場価値が上がりやすい経験の例:

  • 在宅医療・居宅療養管理指導への関与
  • 管理薬剤師としてのマネジメント経験
  • 地域連携・かかりつけ薬剤師制度の実践
  • OTC・健康相談の幅広い対応力
  • 専門医療機関でのがん化学療法・感染症管理など

5. 数年後に選択肢が増えること

奨学金返済中は「今がラク」な働き方より、「3年後に詰まない」働き方を選ぶことが重要です。目先の年収や楽さを優先した結果、転職市場での価値が上がらず、同じ年収帯に留まり続けるケースは珍しくありません。

返済期間は、キャリア投資期間でもあります。

働き方別に見る、奨学金返済中の向き・不向き

薬剤師の主な働き方について、返済中の視点で整理しました。

調剤薬局

安定した収入が得やすく、シフト管理も比較的しやすいのが特徴です。

ただし、チェーン薬局では年収が一定の水準で頭打ちになることも。管理薬剤師・在宅対応・中小薬局での裁量ある働き方を選べると、年収アップや経験の幅が広がる可能性があります。

ドラッグストア

年収水準が高めに設定されているケースが多く、返済中の手取り確保という意味では魅力があります。

一方で、勤務時間・体力・品出しなどの業務との相性が人によって分かれます。長く続けられるかどうかを先に確認することが大切です。

病院薬剤師

初任給・基本給が低めになりやすい傾向があり、返済直後の手取りは苦しくなる可能性があります。

ただし、自治体病院や特定の病院では奨学金返還支援制度が整備されているケースもあります。

また、専門性・研修・チーム医療経験など、長期的な市場価値を高める環境として評価できます。返済額によっては生活が厳しくなるため、慎重に試算してから検討しましょう。

地方・郊外勤務

都市部より高い年収、住宅補助、引越し補助、自治体による奨学金返還支援などがセットになっているケースがあります。

一方で、車の維持費・生活環境・将来のキャリア・家族の意向なども並行して考える必要があります。

「条件がいいから」だけで判断すると、生活の続けにくさが後から出てくることも。

派遣・パート・副業的な働き方

時給単価は魅力的に見えることがありますが、社会保険・安定性・長期キャリア形成の面で課題が残ります。

返済初期は毎月の返済額が固定費として確定しているため、収入が読みやすい正社員の方が向いている人も多いです。

副業・複業的な働き方は、正職員での安定基盤を確保したうえで検討するのが現実的です。

奨学金返済中こそ、転職サイトは「転職するため」ではなく「相場を知るため」に使う

「転職サイトに登録する=転職する」と思っている薬剤師は多いですが、それは誤解です。

奨学金返済中の薬剤師が抱えやすい問題の一つは、「自分の年収が業界平均と比べて高いのか低いのかわからない」ということです。

厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)によると、全国の薬剤師の平均賃金は年収566.8万円、平均年齢は40.1歳とされています(2026年6月2日時点)。

ただしこれは全年代の平均であり、20代・30代の若手薬剤師の実態をそのまま表す数字ではありません。

転職サイトを使うことで、以下のことがわかります。

  • 自分と同じ経験年数・スキルの薬剤師が、どのくらいの年収で募集されているか
  • 住宅手当・返済支援・残業時間などの条件が、今の職場と比べてどうか
  • 自分が動いた場合、どんな選択肢があるか

重要なのは、「登録したからといって必ず転職しなければいけない」わけではないということです。

相場を知るだけでも、今の職場の条件を交渉するための根拠になりますし、「今の職場で続けよう」という判断もより自信を持って下せるようになります。

ただし、エージェントの言いなりになる必要はありません。転職エージェントは成約で報酬が発生するビジネスモデルなので、転職を急かされることもあります。

最終的な判断は、必ず自分自身でする意識を持ってください。

奨学金返済を早く進めたい薬剤師向けに、転職サイトの使い分けはこちらで詳しくまとめています。 薬剤師の転職で「年収+100万」を実現する完全ガイド

返済が本当にきついときは、制度を使う

どれだけ働き方を見直しても、一時的に返済が厳しくなる状況は起こり得ます。

そのときに知っておきたいのが、JASSOの2つの制度です(2026年6月2日時点)。

減額返還制度

毎月の返還額を最大半額程度まで減らし、その分返還期間を延ばす制度です。

収入が少ない時期や育休・病気などのライフイベントで一時的に返済が苦しくなった場合に活用できます。

返還期限猶予制度

一定期間、返還を先送りできる制度です。ただし、この制度は元金や利子が免除されるわけではありません。先送りした分の利子は積み上がります。

あくまでも「一時的に返済を止める」制度であり、根本的な解決ではありません。

制度を使うことは「負け」ではありません。延滞してからでは信用情報に影響が出ることもあります。厳しいと感じたら、延滞する前にJASSO(またはサービサー)に相談・申請することが重要です。

ただし、猶予制度は働き方の見直しとセットで考えましょう。

まとめ:奨学金700万円を返す薬剤師に必要なのは、根性ではなく設計

節約も大事です。でも、毎月の返済に追われている状態が続くなら、働き方そのものを見直す価値があります。

まずやってほしいのは、3つのことです。

  1. JASSOの公式シミュレーションで、自分の正確な毎月返済額を確認する
  2. 今の職場で5つの条件(安定収入・手取り・福利厚生・継続可能性・市場価値)が成立しているか確認する
  3. 転職するかどうかは別として、自分の年収相場と求人条件を一度確認する

奨学金返済を早く進めたい薬剤師は、まず自分の年収相場と求人条件を確認してみてください。

薬剤師の転職で「年収+100万」を実現する完全ガイド(https://r-yakugakuto.com/143/)

FAQ

Q. 薬剤師なら奨学金700万円は返せますか?

返せます。ただし「薬剤師だから自動的に余裕で返せる」わけではありません。厚生労働省のデータでは薬剤師の平均年収は566.8万円(全年代平均・2026年6月2日時点)ですが、20代では手取りが月20〜25万円程度になるケースも多く、家賃・生活費・税金・返済が重なると余裕は限られます。返せるかどうかは「返済額×返還期間÷毎月の可処分所得」のバランスで決まるため、まずJASSOのシミュレーションで自分の返済額を確認することをおすすめします。

Q. 奨学金返済中は年収重視で転職すべきですか?

年収は重要な条件ですが、年収だけで選ぶのはリスクがあります。残業時間・通勤費・住宅手当・返済支援の有無まで含めた実質収入と、長期的に続けられる環境かどうかを合わせて確認することが大切です。高年収でも短期間で辞めることになれば、転職コスト・キャリアロスの方が大きくなることがあります。

Q. 病院薬剤師でも奨学金返済はできますか?

できます。ただし、調剤薬局やドラッグストアと比べて初任給・基本給が低めになりやすいため、返済直後の手取りが苦しくなる可能性があります。

一方で、自治体病院などでは奨学金返還支援制度が設けられているケースもあります。

返済額と月々の手取りを先に試算したうえで、支援制度の有無を勤務先候補に確認することをおすすめします。条件によっては、病院薬剤師として専門性を磨きながら返済を進めることは十分に現実的な選択肢です。

Q. 奨学金返済支援がある職場はありますか?

あります。企業等の奨学金返還支援(代理返還)制度(JASSO経由)、地方自治体による薬剤師向け返還支援(大分県・山口県など)、一部の自治体病院における返還支援などがあります(2026年6月2日時点)。

ただし、条件・対象者・金額は勤務先・地域・制度によって大きく異なります。転職エージェントや求人票、各自治体の窓口で個別に確認してください。

Q. 返済が苦しいときはどうすればいいですか?

まず延滞する前に、JASSOまたはサービサーに相談することが重要です。

減額返還制度(毎月の返還額を減らし返還期間を延ばす)か、返還期限猶予制度(一定期間返済を先送り)の申請を検討してください。

猶予制度は利子が免除されるわけではないため、使う場合は同時に働き方・収入の見直しも進めることをおすすめします。

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都内の中小薬局で働いてる薬剤師。106回薬剤師国家試験に合格。奨学金700万の返済のために『薬剤師として稼いでいく』ブログを開設。ドラックストアでアルバイト経験から中小薬局に就職し、薬剤師×投資家としてFIREを目指してます。