はじめに

「なぜ自分ばかり残業しているのだろう?」

「同じ薬剤師なのに、仕事の負担が違いすぎる」

「頑張って仕事を引き受けても、評価されている気がしない」

調剤薬局で働いていると、こうした疑問を持つことがあるのではないでしょうか。

私は薬剤師として働き、管理薬剤師も経験しています。

薬局には、定時になれば帰る薬剤師もいれば、残った仕事を片付けるために残業する薬剤師もいます。

もちろん、残業する人が偉いわけでも、定時で帰る人が悪いわけでもありません。

ただ、仕事を多く引き受ける人に負担が集中し、その貢献が十分に評価されなければ、職場への不満につながるでしょう。

私自身も、業務の偏りに悩み、上司への相談や仕事の進め方の改善に取り組んできました。

この記事では、私の経験と厚生労働省の労働時間に関する資料をもとに、残業する薬剤師と残業しない薬剤師の違いを整理します。

そして、仕事の分担や評価に疑問を感じたとき、どのように行動すればよいのかを考えていきます。

目次
  1. 結論:残業の有無ではなく、仕事への貢献と職場の仕組みが重要
  2. 残業する薬剤師と残業しない薬剤師の違いを比較
    1. 残業しない薬剤師=仕事ができる薬剤師なのか?
    2. 残業する薬剤師=責任感が強い薬剤師なのか?
  3. 私が経験した「仕事を引き受ける薬剤師に負担が集中する問題」
    1. 定時18時30分の職場で、退勤が20時になる
    2. 仕事を多く引き受けても、十分に評価されているとは感じられない
  4. なぜ一部の薬剤師に仕事が集中するのか?
    1. 1.担当業務と責任範囲が曖昧になっている
    2. 2.仕事を引き受ける人に頼りすぎている
    3. 3.会社の評価基準が十分に共有されていない
  5. 残業する薬剤師にも、改善すべき点がある
    1. すべての仕事を自分で抱え込まない
    2. 仕事の優先順位を整理する
  6. 残業しない薬剤師にも、改善できる点がある
  7. 私が実際に取り組んだ3つの改善策
    1. 1.上司や会社に相談した
    2. 2.自分の仕事の進め方を改善した
    3. 3.引き受ける仕事の範囲を見直した
    4. 結果として、残業時間は少し減った
  8. 薬剤師の残業について知っておきたい労働時間のルール
  9. 頑張っても評価されないなら、転職も考えていい
    1. 転職前に比較したい5つの条件
    2. 薬剤師転職サイトを使って、今の職場と比較する
  10. まとめ:残業する薬剤師も、しない薬剤師も、仕事への向き合い方を見直そう
  11. 参考資料

結論:残業の有無ではなく、仕事への貢献と職場の仕組みが重要

最初に私の考えをお伝えします。

残業する薬剤師にも、残業しない薬剤師にも、改善できる部分はあります。

残業する人は、必要以上に仕事を抱え込んでいないか。

残業しない人は、自分の担当業務だけでなく、チーム全体の業務にも目を向けられているか。

そして、薬局の管理者や会社は、仕事量や責任に応じた適切な業務分担と評価を行っているか。

重要なのは、この3つだと考えています。

薬局は、患者さんに安全で継続的な医療を提供するために、薬剤師同士が協力して働く場所です。

一人ひとりの能力や責任感だけに依存する職場では、特定の薬剤師に負担が集中する可能性があります。

反対に、全員が自分の役割を理解し、必要に応じて協力できれば、残業を減らすための改善も進めやすくなります。

それでも改善されず、仕事への貢献が適切に評価されないのであれば、転職を考えることも選択肢の一つです。

残業する薬剤師と残業しない薬剤師の違いを比較

まず、両者の違いを整理してみましょう。

以下は、私の職場経験から考えた比較の観点です。すべての薬局や薬剤師に当てはまる統計的な特徴ではありません。

比較項目残業する薬剤師残業しない薬剤師
退勤時間定時を過ぎても仕事が残る定時までに退勤する
業務量多くの仕事を担当している場合がある担当業務が適切に収まっている場合がある
仕事への向き合い方他人の仕事も引き受ける場合がある担当業務を優先する場合がある
仕事の効率改善の余地がある場合もある効率よく進めている場合もある
責任の範囲管理業務や追加対応を担う場合がある担当業務が限定されている場合もある
給与・評価貢献が十分に反映されていない可能性評価の妥当性は個別に確認が必要
私生活退勤後の時間が減りやすい退勤後の予定を立てやすい

この表から伝えたいのは、残業時間だけでは仕事の能力や責任感を判断できないということです。

同じ薬局で働いていても、担当する業務や責任の大きさが異なることがあります。

その違いを無視して、単純に残業時間だけを比較するのは適切ではありません。

残業しない薬剤師=仕事ができる薬剤師なのか?

仕事を効率よく進めて、定時に退勤することは大切です。

薬歴を適切なタイミングで記載し、優先順位を決め、必要な仕事を時間内に終わらせる。

これは薬剤師として評価されるべき能力だと思います。

しかし、同じ定時退勤でも、その背景は異なります。

自分の仕事を十分に終えたうえで帰る場合もあれば、他の薬剤師に仕事が残っている状態で帰る場合もあります。

もちろん、担当業務を終えた人に、際限なく追加業務を求めることが正しいわけでもありません。

大切なのは、退勤時間ではなく、担当する仕事を適切に完了し、必要な情報共有や引き継ぎができているかです。

残業する薬剤師=責任感が強い薬剤師なのか?

一方で、残業しているから責任感が強いとも限りません。

仕事量が多すぎる場合もあれば、業務の進め方に改善の余地がある場合もあります。

ただ、私が特に問題だと感じているのは、他の人が引き受けなかった仕事を一部の薬剤師が抱え込んでしまう状況です。

薬局の業務は、目の前の調剤や服薬指導だけではありません。

薬歴の記載、在宅患者さんの準備、翌日の業務準備、管理業務など、患者さんが帰った後にも必要な仕事があります。

その仕事を誰が担当するのか。(薬歴は投薬した人の仕事です)

ここが曖昧になると、最後まで仕事を引き受ける薬剤師に負担が偏ることがあります。

私が経験した「仕事を引き受ける薬剤師に負担が集中する問題」

ここからは、私自身の経験です。

私の職場でも、薬剤師によって仕事への向き合い方に違いがあると感じています。

自分の担当業務が終われば帰る薬剤師がいる一方で、他の人の仕事まで引き受ける薬剤師もいます。

また、負担の大きい業務を積極的には引き受けない人がいるとも感じています。

私が管理薬剤師として特に悩んだのは、こうした業務負担の偏りでした。

定時18時30分の職場で、退勤が20時になる

私の職場では、本来の定時は18時30分です。

しかし、以前は20時ごろまで仕事をしていることがありました。

残業の主な理由として挙げられるのは、次のような業務です。

  • 在宅患者さんに関する準備
  • 翌日の業務準備
  • 薬歴の記載

いずれも、薬局の業務を円滑に進めるために必要な仕事です。

特に薬歴は、患者さんの服薬状況や指導内容を記録する重要な業務です。

だからといって、毎日残業することを当然にしてよいとは思いません。

日中に必要な時間を確保できているか、担当者を適切に配置できているか、仕事の進め方に問題がないか。

業務そのものだけでなく、職場の仕組みも見直す必要があると考えています。

仕事を多く引き受けても、十分に評価されているとは感じられない

私がもう一つ問題だと感じているのが、仕事への貢献と評価の関係です。

追加の仕事を引き受けても、それが十分に評価されているとは感じられないことがあります。

もちろん、私は同僚の給与や人事評価の詳細をすべて把握しているわけではありません。

そのため、「仕事をしない人と給料が同じ」「残業しない人の方が高く評価されている」と断定することはできません。

それでも、業務の負担や責任の違いが、会社にどのように評価されているのかは気になります。

私は、仕事を長時間している人を無条件で評価すべきだとは考えていません。

しかし、患者対応や職場運営への貢献、担当業務の責任、他の薬剤師への支援などを、適切に評価する仕組みは必要だと思っています。

なぜ一部の薬剤師に仕事が集中するのか?

薬局で仕事が偏る原因は、一つではありません。

私の経験から、特に見直したいのは次の3点です。

1.担当業務と責任範囲が曖昧になっている

「気づいた人がやる」

「できる人がやる」

こうした運用は、短期的には仕事を進めやすいかもしれません。

しかし、担当者が曖昧なままだと、特定の薬剤師が継続的に仕事を引き受ける可能性があります。

例えば、翌日の在宅準備を誰が担当するのかが明確でなければ、最後に残った人が対応することも考えられます。

業務を円滑に進めるには、仕事ごとの担当者と、終わらなかった場合の引き継ぎ方法を決めておくことが重要です。

2.仕事を引き受ける人に頼りすぎている

薬局では、経験豊富な薬剤師や管理薬剤師に相談が集まることがあります。

判断が必要な業務を経験者が担当するのは、必ずしも悪いことではありません。

ただし、その人が対応しなければ仕事が進まない状態が続くのであれば、業務分担や教育体制を考え直す必要があります。

仕事を任せる側も、引き受ける側も、役割を整理することが大切です。

3.会社の評価基準が十分に共有されていない

業務への貢献がどのように評価されるのか分からなければ、不公平感は解消しにくいでしょう。

例えば、管理業務、後輩指導、在宅対応などが評価項目に含まれているのか。

担当する業務量や責任の差が、どのような仕組みで給与や昇給に反映されるのか。

こうした情報を把握することも、納得して働くためには重要です。

残業する薬剤師にも、改善すべき点がある

ここまで、仕事を引き受ける薬剤師の負担について書いてきました。

しかし、残業している側にも改善できる部分はあります。

これは、私自身にも当てはまることです。

すべての仕事を自分で抱え込まない

責任感があっても、すべての仕事を一人で抱え込む必要はありません。

特に管理薬剤師は、患者さんへの対応だけでなく、薬局全体の業務を管理する立場です。

自分で仕事を片付けるだけでなく、適切に仕事を任せ、チームとして業務を進めることも大切だと考えています。

仕事を引き受ける範囲を見直すことは、責任を放棄することとは違います。

仕事の優先順位を整理する

業務が多いときほど、優先順位を明確にする必要があります。

例えば、次のような観点です。

業務見直すポイント
薬歴記載記録する時間を業務内に確保できるか
在宅準備担当者や準備の期限が明確か
翌日の準備当日中に必要な作業を区別できているか
管理業務管理者が対応すべき仕事か
同僚のフォロー本人への教育や業務分担の見直しで改善できるか

ただし、患者さんの安全に関わる業務や、適切な記録・情報共有を省略してよいという意味ではありません。

効率化とは、必要な仕事を減らすことではなく、無駄な手順や業務の偏りを見直すことだと思っています。

残業しない薬剤師にも、改善できる点がある

一方で、定時で帰る薬剤師も、自分の働き方を振り返る余地があります。

もちろん、定時退勤は悪いことではありません。

問題になるのは、チームで分担すべき業務や必要な引き継ぎが不十分な場合です。

例えば、自分の仕事が終わっていても、薬局全体として必要な業務が残っていることがあります。

そのときは、他の薬剤師の状況を確認し、担当範囲について話し合うことが大切です。

ただし、同僚の残業を減らすために、誰かが常に予定外の残業を引き受けるべきだとも思いません。

仕事量が多すぎるのであれば、勤務時間内に対応できる人員配置や業務分担を整える必要があります。

残業しない努力と、チーム全体への協力は両立できるはずです。

私が実際に取り組んだ3つの改善策

私自身も、残業や業務負担について、ただ不満を感じていたわけではありません。

実際にいくつかの改善を試みました。

1.上司や会社に相談した

まず、業務の負担について上司や会社に相談しました。

以前には、人員補充について相談し、パート薬剤師の採用を要望したこともあります。

その時点での回答は、検討中というものでした。

現場の努力だけで対応しきれない場合、会社に課題を伝えることも管理薬剤師の役割の一つだと考えています。

2.自分の仕事の進め方を改善した

次に、仕事の進め方を見直しました。

残業の原因となる業務を意識し、時間の使い方や仕事の進め方を改善するようにしました。

ただし、仕事のやり方を変えただけで、すべての問題が解決したわけではありません。

3.引き受ける仕事の範囲を見直した

そして、自分が引き受ける仕事の範囲も見直しました。

他の薬剤師が担当すべき仕事まで、自分が対応し続ける必要があるのか。

本来の担当者に任せられる仕事はないのか。

管理薬剤師として、仕事を進めることだけでなく、誰が担当すべきかを考えるようにしました。

結果として、残業時間は少し減った

これらの取り組みによって、私の残業時間は少し減りました。

ただし、改善策ごとにどの程度の効果があったのかを示す数値はありません。

また、残業の問題が完全になくなったわけでもありません。

それでも、仕事の進め方や引き受け方を見直すことには意味があったと感じています。

一方で、個人の努力だけでは変えられないこともあります。

人員配置や評価制度、薬局全体の業務分担については、会社や組織として取り組む必要があります。

薬剤師の残業について知っておきたい労働時間のルール

ここで、残業に関する基本的なルールも確認しておきます。

厚生労働省によると、法定労働時間は原則として1日8時間、週40時間です。

また、法定時間外労働の上限は、原則月45時間・年360時間とされています。

この上限規制は、大企業では2019年4月、中小企業では2020年4月から適用されています。

臨時的な特別の事情がある場合にも、さらに上限が設けられています。

ただし、月45時間までなら残業を当然に命じてよい、という意味ではありません。

法定時間外労働には36協定などの条件があり、割増賃金の支払いも必要です。

また、厚生労働省は、使用者が労働者の始業・終業時刻を確認し、記録することを原則としています。

薬歴や翌日の準備などが労働時間に該当するかは、使用者の指揮命令下で行われているかなど、具体的な状況によって判断されます。

残業に悩んでいる場合は、まず実際の労働時間を正確に把握することも大切です。

参考:厚生労働省「時間外労働の上限規制」「労働条件・職場環境に関するルール」「労働時間の適正な把握方法について」

頑張っても評価されないなら、転職も考えていい

ここまで、残業する薬剤師と残業しない薬剤師、それぞれの改善点について考えてきました。

私は、最初から転職だけを勧めたいわけではありません。

まずは、自分の仕事の進め方を見直す。

同僚と仕事の分担を確認する。

必要であれば、上司や会社に相談する。

こうした取り組みで改善できるのであれば、今の職場で働き続けることも十分に選択肢となります。

しかし、改善を試しても業務負担が偏り続ける場合はどうでしょうか。

自分だけが追加の仕事を引き受け、会社から十分な説明や評価が得られない。

残業によって、家族との時間や自分の時間が削られていく。

そんな状況が続くのであれば、今の職場だけにこだわる必要はないと考えています。

仕事への貢献が正当に評価される職場を探すことも、自分の働き方を守るための行動です。

転職前に比較したい5つの条件

ただし、転職すれば必ず残業が減る、年収が上がるという保証はありません。

転職先を選ぶ際は、次の条件を確認することをおすすめします。

  1. 残業時間:月平均だけでなく、繁忙期や特定の担当者への偏りも確認する
  2. 人員体制:薬剤師の人数、処方箋枚数、在宅業務の負担を確認する
  3. 仕事の分担:薬歴、在宅準備、管理業務を誰が担当するのか確認する
  4. 給与と評価:基本給、残業代、役職手当、昇給・賞与の評価基準を確認する
  5. 働きやすさ:休日、通勤時間、家庭との両立、教育体制を確認する

求人票だけでは分からない内容もあるため、面接や職場見学で具体的に質問することが大切です。

薬剤師転職サイトを使って、今の職場と比較する

現在の職場に不満があっても、すぐに退職を決める必要はありません。

まずは、自分の経験や担当業務が、他の職場でどのような条件につながるのかを調べてみてはいかがでしょうか。

管理薬剤師としての経験、在宅業務、後輩の指導、職場運営への貢献などは、転職時に整理して伝えたい経験です。

転職サイトを利用する場合も、年収だけではなく、残業時間や業務分担について確認することをおすすめします。

薬剤師転職サイトの選び方や求人条件の比較については、以下の記事で紹介しています。

関連記事: 薬剤師が年収を上げる転職サイトの使い方|現役薬剤師がFIRE目線で比較

大切なのは、転職すること自体ではありません。

今の職場で働き続ける場合も、転職する場合も、自分が納得できる労働条件を選ぶことです。

まとめ:残業する薬剤師も、しない薬剤師も、仕事への向き合い方を見直そう

最後に、この記事で伝えたいことを整理します。

  • 残業する薬剤師が偉いわけでも、残業しない薬剤師が優秀なわけでもない
  • 業務量や責任の違いを無視して、退勤時間だけで仕事の能力を判断しない
  • 残業する薬剤師は、仕事を抱え込みすぎていないか見直す
  • 残業しない薬剤師は、必要な協力や引き継ぎができているか確認する
  • 会社には、適切な業務分担と貢献を評価する仕組みが求められる
  • 改善しても評価や働き方に納得できないなら、転職も選択肢になる

私は、残業そのものを否定したいわけではありません。

患者さんへの対応や予期しない業務によって、予定どおりに仕事が終わらないこともあります。

ただ、それが毎日のように続き、特定の薬剤師だけが負担を抱える職場であれば、何かを変える必要があると思っています。

薬剤師として仕事に責任を持つことは大切です。

しかし、責任感だけで自分の時間を犠牲にし続ける必要はありません。

仕事を多く引き受ける人が損をせず、定時で帰る人も適切に評価される。

そんな職場を目指すことが大切ではないでしょうか。

もし、現在の職場で十分な評価を得られていないと感じるなら、一度、他の職場の条件を調べてみてください。

自分の経験や働き方を見つめ直すきっかけになると思います。


参考資料

※法令の施行時期と、本記事での情報確認日は異なります。

1.厚生労働省「時間外労働の上限規制」

2.厚生労働省「労働条件・職場環境に関するルール」

3.厚生労働省「労働時間の適正な把握方法について教えて下さい。」

※この記事の職場経験に関する記述は筆者個人の経験と考え方です。特定の薬局・薬剤師全体の実態を示すものではありません。

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おかき
都内の中小薬局で働いてる薬剤師。106回薬剤師国家試験に合格。奨学金700万の返済のために『薬剤師として稼いでいく』ブログを開設。ドラックストアでアルバイト経験から中小薬局に就職し、薬剤師×投資家としてFIREを目指してます。